□東京無地染について

最も基本の染め付けである無地染。平安時代、仏教の伝来と共に藍と紅花が伝来し、江戸時代になると、紫紺で染めた「江戸紫」が「江戸っ子の粋」としてもてはやされました。現在の東京無地染は染料の進化や生地の高級化に対応しながらも、江戸の色と伝統工芸の技を活かし逸品を生み出しています。控えめで品高い印象の無地染は、紋を入れれば礼装に準じた装いとして、紋がないものは普段着として着ることができます。目上の方へのあいさつやパーティー、稽古事からカジュアルな食事会まで、帯や小物合わせ次第で活躍の場が広いベーシックな染めです。

無地染は基本的に単色の染めでありながら、地紋や生地の素材によってその質感や印象がさまざま。江戸時代より伝わる色見本を手がかりに、微妙な色の違いを調整しながら染め上げていきます。

素材や染め付ける日の気温や湿度、着物のになったときの着こなし方などを想定し、世にふたつとしてない手作業による染めは贅沢そのもの。長い反物をむらなく一様に美しく仕上げるのは至難の技。シンプルでありながら格式高いとされる所以です。

近藤染工では染色体験も行っております。ご興味のある方はいらしてみてください。